田中学術奨励基金研究助成制度

日本不動産学会田中学術奨励基金研究助成制度

田中学術奨励基金研究助成 2024年度選考結果

<研究助成>
申請者池澤威郎(阪南大学経営学部)
研究タイトルASEANにおける日系・総合型商業施設の海外進出
―マレーシア、シンガポールを中心として
助成金額50万円
助成理由 応募者は、これまで百貨店とSCをビジネスシステムとして比較する新しい視点を提供し、SCの百貨店化の変容過程を明らかにした研究を行ってきた。伝統的な商学分野での研究蓄積に基づき、百貨店とSCの仕入れ形態や賃料形態を機動的に使い分ける独創性のあるモデルを提示し、商業の形態が大きく変わる中で実務や政策などに新しい示唆を与えている。特に、不動産学との関連では、不動産市場の変化や定期借家制度の導入によって商業形態の変容が引き起こされていることを明示し,不動産学における新しい仮説構築に応用できる可能性を示している。
 本応募課題のテーマである小売・商業不動産の海外進出は、これまでの研究成果である小売・不動産のビジネスシステムの分析枠組の構築という点で継続性があり、十分に評価できるものと思われる。総合型商業施設の海外進出を深く研究するには、現地での調査は重要であり、研究予算の使途も妥当なものと思われる。研究の独創性、社会的影響、研究の実現可能性、およびこれまでの実績などを評価して助成にもなじむものといえる。
 以上の理由により、本課題は田中学術奨励基金研究助成に値する。
<出版助成>
申請者室田昌子(東京都市大学名誉教授)
出版タイトル郊外戸建住宅地 − 次世代につなぐ戦略
助成金額50万円
助成理由 我が国におけるかつてのニュータウン戸建住宅地の時代的、社会的変化の状況の中で、その存在がきわめて危機的な状況にあることが認識され、次世代に良い形で継承される処方箋が期待される。今回、室田氏の出版助成候補申請の内容はきわめて時期にかなったものである。
 学術的な分析により、住宅政策が人口構成や都市ポテンシャルが変化する中で、どのように地域全体をコントロールするかという問題意識のもと、持続可能な社会実現するための大きな課題と私たちが取りくまねばならない社会的、福祉的サービスの確立が急がれることを認識させてくれており、我が国の住環境のサスティナブルな課題を明らかにしたすぐれた著作となることが期待される。
 以上の理由により、本課題は田中学術奨励基金研究助成に値する。




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